GRAY OUT

日常、誰もが目にしている情景の中で、取り立てて記憶もされずに忘れ去られてしまうものこそが、純粋な現実なのではないか。

記録や表現とは無縁の場所から生まれた写真が、いったいどこに向かい、他者とどのように関わっていくのか。

これは「White out」と「Black out」の間に広がるグレーゾーンで行われた実験である。

得能正一

 

“White out” が無明からの生の始まりを、”Black out” が死の謂だとしたら、”GRAY OUT” は我々が今生で触れうる世界の全ての可能性を暗示しています。

写真はその膨大な可能性の中から、ほんの限られた一部しか写しとることができないために、我々はそこに意味や思いを重ねがちです。しかし得能が本書で試みているのは、そう言った有用な社会性から写真を開放することで、現実の真の姿を抽出しようというものです。

「現実の束」とでも言うべき本書の醸し出す比類なき存在感は、得能が、ファインダーによって切り取られたごく狭い矩形の内に、現実のありのままの姿を捉える、という写真の機能と、どこまでも率直に向き合い続けた時間の層の厚みを窺わせます。

 

著者: 得能正一
編集: 森下大輔
デザイン: 得能正一
サイズ: 297×210mm
ページ数: 172
掲載作品数: モノクロ172点
製本: 並製本
初版: 200部
ISBN 978-4-9909567-5-2

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